オフィスの明るさは三百ルクス以上

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オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている 第1章

『オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている』の目次:オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている

職場の机の上がどれくらい明るいか、気にしながら働いている人はあまりいない。照明がついていれば明るいし、消えていれば暗い。その程度の感覚で、毎日の仕事は回っている。ところがこの明るさには、省令で数字が決まっている。事務所衛生基準規則の第10条は、室の作業面の照度を作業の区分ごとの基準に適合させなければならないと定め、表に二行の数字を置いている。

  1. 一般的な事務作業 三百ルクス以上
  2. 付随的な事務作業 百五十ルクス以上

測る場所は部屋全体ではなく「作業面」、つまり机の上や手元だ。厚生労働省のリーフレットは、ルクスを照らされた面にどれだけ光が届いているかを表す単位だと説明する。オフィス全体が明るくても、パーテーションで区切られた手元が暗ければ基準を満たしていない可能性がある、とも書いている。付随的な事務作業の例に挙がっているのは資料の袋詰めだ。文字を読み込んだり、資料を細かく見分けたりしない作業がこちらに入る。

この規則が当てはまる「事務所」は、第1条が決めている。建築物またはその一部で、事務作業に従事する労働者が主として使うものだ。事務作業には括弧書きで「タイプライターその他の事務用機器を使用して行う作業を含む」とある。規則は昭和47年労働省令第43号で、2021年の改正を経たいまも条文にタイプライターの文字が残っている。第10条の表の上には、感光材料の取扱いなど特殊な作業を行う室は別、というただし書きもある。

表が二行になったのは2022年12月1日からだ。改正前の表には三行あった。

  1. 改正前 精密な作業 三百ルクス以上
  2. 改正前 普通の作業 百五十ルクス以上
  3. 改正前 粗な作業 七十ルクス以上

改正を知らせる令和3年12月1日の施行通達によると、いまの「一般的な事務作業」は改正前の精密な作業と普通の作業にあたる。「付随的な事務作業」は粗な作業にあたる。上の三百という数字は変わっていない。変わったのは下の二つで、普通の作業は百五十から三百へ、粗な作業は七十から百五十へ、どちらも倍になった。通達は理由として、照度不足による眼精疲労や、文字を読むために不適切な姿勢を続けることによる上肢障害などの健康障害を防ぐ観点を挙げる。事務所で働く高年齢の労働者が増えていることにも触れている。

三百ルクスは、それでも下限だ。リーフレットの裏表紙には日本産業規格JIS Z 9110:2010の推奨照度の表が一部載っていて、事務室は750ルクス、会議室は500ルクス、受付は300ルクスとなっている。通達は、規則の基準を満たしたうえでこの規格の推奨照度などを参照し、事業場ごとに照度基準を決めるのが適当だとしている。省令の線と規格の値のあいだには、事務室で倍以上の開きがある。

第10条には数字のない決まりもある。第2項は、採光と照明を「明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法」によらせる。第3項は照明設備の定期点検で、ここにも六月以内ごとに一回という数字がある。同じ規則で、大掃除に求められている間隔と同じだ。明るさの次に、この規則が数字で決めているのは部屋の温度になる。

参考:e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」/厚生労働省「職場における労働衛生基準が変わりました」/厚生労働省「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和3年12月1日 基発1201第1号)

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