最低賃金の本 第5章
第4章までで地域別の確認と罰則を見たあと、もう一つの種類が残ります。特定の産業について置かれる下限です。関係労使の申出をきっかけに、最低賃金審議会が調べて審議し、地域別より高い金額水準が必要だと認めた産業に設定されます。厚生労働省の「特定最低賃金について」が、この流れを説明しています。
適用の相手は、都道府県内で働くすべての労働者ではありません。当該産業の基幹的労働者とその使用者です。賃金のハブページも、基幹的労働者を対象とする、と置いています。FAQでは、都道府県内の特定産業について適用されるものと、全国を適用地域として特定産業について決まるものの二つがある、と説明されています。全国単位のものは件数としてはごく限られます。
地域別と特定の両方が同時にかかる場合は、高い方の最低賃金額以上を支払わなければなりません。概要ページもFAQも同じです。第4章で見た罰則の分岐も、この「高い方」を基準に下がっていないかが先になります。地域別だけを見て足りると決めると、特定の方が高いときにずれます。
件数と規模は、厚労省のページに年次が付いて並びます。令和8年4月1日現在、設定件数は223件です。適用使用者数は約9.03万人、適用労働者数は約301万人です。賃金のハブページも、同日現在で223件とあります。参考PDFの件数表とも一致します。
前年同日と比べて件数が動くこともあるので、年次の注記を一緒に見ます。一覧は厚労省の特定最低賃金の全国一覧から都道府県・産業ごとに追えます。相談は最寄りの都道府県労働局です。自分の事業場にどれがかかるかは、産業の範囲と基幹的労働者の当てはめが先です。業種名の言い回しが会社の呼称とずれることもあるので、一覧の該当行を見たうえで労働局側に確認します。
令和7年度の改定は112件でした。地域別を下回る特定を除いた全国加重平均額は1,128円で、前年度比プラス65円です。数字は「特定最低賃金について」の注記の写しです。設定・改正・廃止の要件や申出の書類は、同ページの参考PDFに分かれています。新設や廃止の件数も年度ごとに並び、令和7年度は新設0件・廃止0件でした。
地域別の47件とは形も件数も違います。都道府県に一つずつではなく、産業ごとに積み上がる地図です。地域別を下回る特定が残っている行もありますが、両方かかるときは高い方が残ります。低い方の行が表にあっても、支払義務の基準は高い方です。
次は、比較のときに対象から外す賃金の話です。
参考:厚生労働省「特定最低賃金について」/厚生労働省「賃金(賃金引上げ)」/厚生労働省FAQ/厚生労働省「最低賃金制度の概要」
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