職員も秘密を守ると書いてある

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図書館は何を借りたか外に出さない 第4章

『図書館は何を借りたか外に出さない』の目次:図書館は何を借りたか外に出さない

貸出も返却も予約も、人の手を通る。カウンターに立てば、名前と書名は自然に目に入る。システムの画面にも並ぶ。見ないで仕事をすることはできない。利用者の秘密を守るという第3は、1979年の宣言改訂で主文に加わった項目だ。その第3の3は、見えてしまうという前提をそのまま受け止めた書き方をしている。「利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。」要は二つある。一つは、職員が知ってしまうことを否定していない点だ。仕事のなかで知ったものを、秘密と呼んでいる。もう一つは、守る人の範囲である。

文言は「図書館員」でも「司書」でもなく、「図書館活動に従事するすべての人びと」となっている。肩書きや資格で区切ってはいない。図書館の仕事に関わって利用の事実に触れる人なら、誰もがこの一文の対象に入る、という読み方になる。日本図書館協会は1980年、総会で「図書館員の倫理綱領」を決議した。前文は、この綱領が宣言と表裏一体の関係にあると述べる。宣言が示した社会的責任を、日々の仕事の側から支えるための文書という位置づけだ。その第3は短い。「図書館員は利用者の秘密を漏らさない。」続く説明は、国民の読書の自由を保障するために、という目的から始まる。そのうえで、知りえた利用者の個人名や資料名などを、圧力や干渉に屈して明かすことも、不注意に漏らすことも退けている。そして、これは図書館活動に従事するすべての人びとに課せられた責務だと結ぶ。宣言と同じ言い回しが、ここでも使われている。綱領は、図書館員が自らに課す規範として書かれたもので、法律ではない。宣言も、協会が掲げる原則である。

ここで目を引くのは「不注意に」という語だ。秘密は、外から強く求められた場面だけで破られるわけではない。悪気のない一言や、何気ない話題の流れでも外に出る。綱領はその両方を同じ並びに置いている。利用者の側から見れば、どちらでも結果は同じだ。知っていることと、外で話してよいことのあいだには線がある。その線を引くのは、記録を持つ図書館という組織だけではなく、そこで働く一人ひとりでもある。記録の管理をどれだけ固めても、人の口から出てしまえば守ったことにならない。宣言が人の側にまで一項を割いた理由は、そこにあると読める。宣言が例外として書くのは、令状を確認した場合だけだ。その例外がどう書かれているかは、また別に読む。本を差し出す側が安心できるのは、受け取る人の口が固いと分かっているからだ。

参考:日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」/日本図書館協会「図書館員の倫理綱領」

次の章:例外は令状を確認したとき

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