附則が施行の日を書き換える

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法律は公布されてもすぐには動かない 第4章

附則が、施行の日を書き換える。通則法第二条のただし書きは、こう書く。ただし、法律でこれと異なる施行期日を定めたときは、その定めによる。原則の二十日の横に、上書きの入口がある。法律自身が附則で日を書けば、そちらの日が先に来る。二十日の原則は、別段の定めがないときに残る。別段の定めがあるときの優先順位が、ただし書きだ。黙っていれば二十日。書いてあれば、書いた日。いまの法律の多くは、附則の一文で施行の日を自ら置く。原則は残り、上書きが先に来る。書き換えの地図は、ここから始まる。本文の原則と、附則の一文が、同じ法律の中で役割を分ける。先に見えるのは、附則に書かれた日だ。通則法の本文だけを見ると、二十日が全面に出る。附則を開くと、別の時計が置いてあることが多い。ただし書きは、その時計を先に置く入口だ。

附則に出てくる型には、名前がある。公布の日から施行する、という即日の型。○年○月○日から施行する、という日付の型。公布の日から起算して○日を経過した日から施行する、という日数の型。政令で定める日から施行する、という委任の型。型の名前だけを持つ。政令で定める日は、施行の日を政令へ委ねる形だ。委任の一行として読む。どの型でも、やっていることは同じだ。通則法の二十日を、附則の一文が置き換える。元号の法令のように、公布と施行を同じ日に置く例もある。内部の地図として、一行触れる程度だ。型の名前が並ぶだけで、地図は足りる。即日も、日付も、日数も、委任も、ただし書きの上の型だ。型のどれかを選ぶのは、法律の側だ。選ばれた型が、施行の日になる。二十日以外の時計は、附則の一文から始まる。

ただし書きの世界では、附則を先に見る。二十日の原則は、別段の定めがないときの戻り先として残る。書いてある日が勝つ。書いていないときに、二十日が戻る。成立や公布のニュースのあとに、附則の一行を探す。そこに施行の日があることが多い。即日もあれば、先の日付もある。日数を置く型もあれば、政令に委ねる型もある。型が違っても、通則法のただし書きの上で動いている。附則が施行の日を書き換える。原則は残り、別段の定めが先に来る。法律は、沈黙していれば二十日を経てから動く。声を出せば、その声の日に動く。ただし書きは、声を出す入口だ。附則の一文が、その声になる。二十日は、沈黙のときの戻り先だ。附則は、先に来る時計だ。上書きのあとに、原則が消えたようには読まない。優先の順番が、ただし書きで決まっている。附則の一文が、施行の日を書き換える。

参考:e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」

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