黙っていれば、法律は二十日を経てから動く。法の適用に関する通則法は、こう書く。法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、法律でこれと異なる施行期日を定めたときは、その定めによる。本文とただし書きが、同じ条に並ぶ。原則は二十日だ。法律自身が別の日を書けば、そちらが先に来る。公布されたその日から、必ず二十日待つ、という意味ではない。黙っているときの橋が、二十日だ。別段の定めがあれば、橋は付け替わる。沈黙と上書きが、同じ条の両側にある。条文を開くと、原則と例外が隣り合う。例外があるからといって、原則が消えるわけではない。沈黙のときの答えと、書いたときの答えが、一つの条に同居している。
「起算して二十日を経過した日」という言い方は、条文どおりに持つ。独自の日数表は作らない。公布の日を起点に数える、という読みの入口はある。細部の数え方の一覧には入らない。条文の言葉が正本だ。この通則法第二条が直接語るのは、法律の施行だ。政令や省令など、下位の命令の施行期日まで、この本文で押し広げない。箱が違う。法律の沈黙に対する原則として読む。命令の側には、別の定めや慣行がある。混ぜない。法律という箱の中で、施行期日を書いていないときの答えが、二十日だ。書いてあるときは、書いた方が勝つ。通則法は、沈黙のときの答えを一つ置いている。答えを先に附則で書いた法律には、その答えが優先する。対象は法律だ。下位の命令を、同じ本文でまとめて読まない。
いまの法律の多くは、附則の一文で施行の日を自ら書く。即日、特定の日付、公布から何日、政令で定める日、といった型がある。実務の地図としては、附則を先に見る、という読み方が多い。断定しすぎない。それでも、通則法の二十日は残っている。別段の定めがないときに戻る原則だ。附則の書き換えの細部は、あとの地図へ残す。先に持つのは、黙っていれば二十日を経てから動く、という一段だ。公布のあとに空白があるように見えても、原則の橋がある。ニュースが「成立」「公布」で止まっても、施行の日は別の行にいる。沈黙していれば、二十日を経過した日から効力が始まる。法律は、沈黙していれば、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。黙っていれば二十日を経てから動く。附則が書かれていないときの戻り先が、通則法第二条だ。上書きが多くても、沈黙の橋は残る。
参考:e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」/日本法令外国語訳データベース「法の適用に関する通則法」
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