相続人申告登記とは

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相続登記の本 第6章

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に履行するための申出制度だ。根拠は不動産登記法第76条の3である。期限内に相続登記の申請が難しいときに、義務を果たす道として設けられた。令和6年4月1日から使える。相続登記の代わりに名義を完成させる手続ではない。義務化に伴って創設された仕組みだ。

手続の核は、登記官への申出にある。必要な戸籍の証明書などを添付し、登記記録上の所有者が亡くなって相続が始まったこと、自らがその相続人であることなどを申し出る。対象は不動産を管轄する法務局だ。期限は3年以内、と公式にある。審査のうえ、申出人の氏名・住所などが職権で登記に付記される。特定の相続人が単独で申し出ることもできる。他の相続人分をまとめて代理で申し出ることも、公式の説明にある。申出をした人について義務を果たしたとみなされ、全員分を一度に済ませたことにはならない。

公式が示す留意点は二つある。ひとつは、権利の所在を公示する登記ではない、という点だ。売却や抵当権の設定をするときは、別途の相続登記が必要になる。もうひとつは、遺産分割後に求められる追加の申請義務は、この申出では果たせない、という点だ。基本の義務を簡易に果たす箱であり、分割後の登記まで置き換える箱ではない。直ちに遺産分割や相続登記が難しいときに使う、という想定が公式にもある。

相続登記そのものに比べ、提出書類は少なく、法定相続分の確定も不要、と説明されている。登録免許税は不要だ、とも公式にある。税率の細部までは追わない。押印や電子署名が不要で、オンラインでの申出も可能、とされている。専用ソフトなしでWebブラウザ上から進められる、という案内もある。提出の骨格は、申出書と相続人であることが分かる戸籍の証明書、申出人の住所を証する情報だ。法定相続情報一覧図の写しや番号で、戸籍の添付に代えられる場合もある。代理人に任せるときは、委任状が要る場合がある。連名で申し出すときは、委任状は不要、と公式にある。

制度の位置づけは、期限内の義務履行の補助線だ。最終的に名義を取引に耐える形へ移すには、相続登記の側が残る。早く分割と相続登記へ進める余地があるなら、その線が本筋になる。不明点は、物件の所在地を管轄する法務局の案内で確認する。申出人と相続登記の申請人は、役割が同じではない。

相続人申告登記とは、相続登記がすぐ難しいときに、相続人であることを申し出て義務を簡易に果たす制度である。権利の公示にはならず、分割後の義務も代行しない。義務の履行と権利の公示は、同じ作業ではない。軽い申出の地図として置き、取引や分割後の登記は別線で考える。

参考:法務省「相続人申告登記について」/法務省「相続登記の申請義務化について」/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

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