相続登記 過料

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相続登記の本 第4章

相続登記の申請義務を、正当な理由なく怠ったときは、10万円以下の過料の対象になると不動産登記法第164条第1項に定められている。ここでの過料は、刑法の罰金とは別の、行政上の過料である。刑事罰の罰金と同じ箱で読むと、制度の位置づけがずれる。言葉は似ていても、制度上の性質が異なる。罰則のラベルを取り違えないことが、読みの先になる。

直ちに裁判所へ通知されるわけではない。法務省の説明では、登記官が申請義務の違反を把握した場合、相当の期間を定めて催告を行う。催告に応じて申請すれば、過料の事件通知は行われない。正当な理由なくその期間内に申請しないときに、管轄の地方裁判所へ通知する枠組みだ。催告のあとに裁判所が判断する、という順序がある。マスタープランの概要でも、直ちに通知しない運用が示されている。通知の前に、催告の段階がある。順序を飛ばして読むと、過料の怖さだけが膨らみやすい。

「正当な理由」として、法務省は類型を例示している。相続人が極めて多く、戸籍の収集などに時間がかかる場合。遺言の有効性や遺産の範囲などが争われ、誰に属するかが定まらない場合。義務を負う本人に重病などがある場合。DV被害などで避難を余儀なくされている場合。経済的に困窮し、申請費用を負担する能力がない場合。

これらに当たらなくても、個別の事情で正当性が認められる余地がある、と公式は置く。個別の可否診断はしない。例示は地図の目印であり、当てはめの最終判断そのものではない。事情の説明は、催告の場面などで確認される。

過料の金額は、通知を受けた裁判所が10万円以下の範囲で決める。期限を1日過ぎたら即、という単純な絵ではない。骨格は、催告を経たうえでの判断だ。運用の細部は公式の案内と通達側で確認する。誰が払うかの攻略や、実例ストーリーは扱わない。額の上限と、手続の順序を分けて読むと、仕組みが見えやすい。

不明な点や手続の進め方は、不動産の所在地を管轄する法務局の登記手続案内や、法テラスの案内から辿れる。特定事務所への誘導はしない。義務の履行と、過料の仕組みは分けて読むと地図が崩れにくい。不安が強いときほど、公式の窓口の案内に戻るのが安全だ。

相続登記の過料は、正当な理由なく申請を怠ったときの行政上の過料である。催告を経てから裁判所へ通知される枠があり、直ちに罰金と同じ扱いにはならない。正当な理由の例示は公式の列挙を手がかりにし、個別判断は窓口で確認する。過料の話は、義務の地図の外側にある制裁の枠だと捉えると、読みが安定する。

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」/法務省「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン(概要)」/e-Gov「不動産登記法」

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