秋の森に、どんぐり学校という小さな学校がありました。生徒はみんなどんぐりで、丸いの、細いの、ぼうしをかぶったの、ぼうしのないのがいます。先生は大きなくぬぎのどんぐりで、みんなは「くぬぎ先生」と呼んでいました。きょうは年にいちどの遠足の日で、どんぐりたちは、わくわくしながら森の小道に一列に並びました。
ころんのおくれ
列のいちばんうしろには、小さなどんぐりのころんがいました。ころんはみんなより少し小さくて、足もゆっくりでした。
「ころん、だいじょうぶ?」
ともだちが振り向きます。
「うん、だいじょうぶ」
ころんはがんばって、ころころと転がりました。けれど坂道にさしかかると、どんどんおくれていって、みんなの背中が遠くなり、とうとう見えなくなってしまいました。
「あれれ。みんな、どこ」
ひとりぼっちの森
まわりには、見たことのない木がたくさんありました。ころんはこわくなって、しくしくと泣きました。
「だれか、たすけて」
すると、頭の上から声がしました。
「どうしたの、どんぐりさん」
見上げると、りすが枝の上からのぞいています。
「みんなとはぐれちゃったの。くぬぎ先生は、どこだろう」
りすはしっぽをふりふり答えました。
「それなら、あっちの丘のほうへ行ったよ。いっしょに行こう」
ころんがりすの背中にちょこんと乗ると、りすは木の枝をすいすいと渡って、丘へ向かいました。
みんなのところへ
丘のてっぺんでは、どんぐりたちが並んで待っていました。
「ころん、ころん」
みんなで名前を呼んでいます。
「あ、ころんだ」
ともだちが走ってきて、くぬぎ先生もほっとして、ころんをぎゅっと抱きしめました。
「ごめんね、ころん。気づかなくて」
「ううん。りすさんが、連れてきてくれたんだ」
みんなはりすにお礼を言って、りすは照れて、しっぽで顔をかくしました。その日のお弁当は、輪になってみんなで食べました。りすもいっしょです。ころんははぐれたことなどすっかり忘れて、ともだちと笑っていました。
帰り道、ころんは列のまんなかを歩きました。先頭の先生も後ろのともだちも、ころんの歩くはやさに合わせて、ゆっくり歩いてくれました。
おしまい
