十八歳で成年でも酒は二十歳 第4章
年齢の線は、制度ごとに動く。選挙権の十八歳は、民法の成年より先に来た。順序を押さえると、成年年齢の引下げが単独の発明ではなかったことが見える。国政の側が先に大人扱いし、民法が後から揃った、という並びだ。線の動きには、はっきりした時間の順番がある。同じ十八歳という数字でも、到達した制度は一つではない。先に十八歳になった領域と、後から十八歳に揃った領域がある。
法務省のQ&Aは、その順で説明する。憲法改正国民投票の投票権や、公職選挙法の選挙権などが十八歳と定められた、と並ぶ。国政の重要な判断について、十八歳・十九歳を大人として扱う政策が進んできた、という説明だ。先に動いたのは、投票まわりの年齢の線だ。民法の第4条より前に、国政の十八歳があった。選挙権と投票権が、民法より先に十八歳へ寄った。国民投票と公職選挙が、同じ十八歳の側に並んだ。民法の成年は、そのあとで同じ十八歳の数字に寄る。
その流れを受けて、市民生活の基本法である民法でも、十八歳以上を大人として扱うのがよいのではないか、という議論が始まった、と続く。先に大人扱いした領域があり、後から民法が追いついた、という整理になる。時間の順では、民法が先頭を切ったわけではない。国政で十八歳を大人と見た流れが、民法側の議論を後押しした。政策の並びが、民法改正の手前にある。自己決定を尊重し社会参加を促す、という意義の説明も公式にある。
順序は、年齢の線の地図の第二段だ。ギャップの第一段では、民法の十八歳と飲酒の二十歳が並ぶ。第二段では、国政の十八歳が民法より先だったことが見える。線は一本ではなく、領域ごとに別々に動く。年齢の線がいつ寄ったかだけを読む。投票の手続や改正の是非には踏み込まない。先後の関係だけを、この地図に残す。条文のカタログにはしない。主根拠は、法務省Q&Aの整理の並びだ。
法務省の改正紹介でも、近年の政策を踏まえて民法で十八歳を大人として扱う議論が進んだ、と置かれている。投票権と選挙権の十八歳が先行し、民法の成年が後から同じ数字に寄った。並びを間違えると、成年引下げが突然に見える。先に動いた線と、後から揃った線がある。国政の大人扱いが先にあり、民法の成年がそのあとに続いた。順序を持つと、急転だったという印象が薄れる。後からの民法は、空中に突然現れた線ではない。
選挙権は先に十八歳になっていた。国政の大人扱いが先で、民法の成年が後だ。制度ごとの線が、同じ十八歳へ、順番に寄っていく地図がある。成年の十八歳だけを単独で見ると、順序が見えなくなる。先に寄った線を思い出すと、後からの民法が一本の政策の流れにつながる。
参考:法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」/法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」
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