いまの一秒は原子時計が刻む

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日本標準時は東経百三十五度 第6章

定義の住所は、なお東経百三十五度相当の九時間進みだ。いま一秒を刻むのは、太陽の南中を毎日測る作業だけではない。情報通信研究機構(NICT)は、原子時計でUTC(NICT)を生成し、それを九時間進めて日本標準時とする。セシウム原子時計は、国際単位系の秒の定義を再現する側の道具だ。一秒はセシウム百三十三原子の特定の遷移に対応する放射の周期の九十一億九百二十六万三千百七十倍の継続時間、という定義が国際にある。量子力学の講義にはしない。短く持てば足りる。秒の定義の全文講義は、締めの段には要らない。水素メーザや光格子時計も、維持の組み合わせに入る。うるう秒のような調整も、時系を保つ工夫のひとつだ。天文の南中と、原子の振動数は、層が違う。住所の九時間は残り、生成の道具が変わった。定義の座標は動かない。南中が目に入りやすくても、いまの刻みの本体は原子時計の側だ。

生成の場所は、東経百三十五度の線上の街そのものではない。NICTは東京都小金井市の本部で日本標準時を生成してきた。二〇一八年六月十日から、兵庫県神戸市に副局も置く。災害時に片方が止まっても、もう一方で維持を続けるための分散だ。東京と神戸の時系は常に比較される、とNICTは説明する。東経百三十五度に近い街は、目印にはなり得る。国家標準時の原器室ではない。観光の入口にもしない。訪問の推奨もルート案内もしない。入場案内やグッズの話にはしない。原器室は、温湿度と電磁気を管理した特別な部屋の側にある。線上の風景と、時計の機械室は、層が違う。目印の線と、通報の源は、同じいまを指しても場所が違う。線は目印、部屋は原器だ。取り違えると、地図が一気に崩れる。標準電波などで知らせる仕組みもある。手順書にはしない。存在の一行で地図は足りる。設定の手順は公式の案内へ戻す。

最初の問そのものへ戻る。いま何時かは全国同じ数字に見える。その数字の住所は、法令上、東経百三十五度の子午線にある。十五度で一時間だから九時間進む。明治の勅令が子午線の時を決めた。法令の名は中央標準時という。かつて西部標準時もあった。いまの一秒は原子時計が刻む。どの段を開いても、住所の経線は消えない。名前が並走しても、西部が過去形になっても、経線の住所は残る。生成が原子になっても、+九時間の読み方は東経百三十五度相当のままだ。住所と生成を取り違えない。片方だけでは時計の全体にならない。時計の数字には、一本の経線の住所が埋まっている。書名が言うとおり、日本標準時は東経百三十五度である。

参考:情報通信研究機構「日本標準時」/情報通信研究機構「標準時・周波数標準のQ&A」

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