十月の終わり、町のかぼちゃ屋さんは、一年でいちばんいそがしい季節をむかえていました。店の前には、大きなかぼちゃや小さなかぼちゃがずらりと並んでいます。ハロウィンの前の晩に、みんながかぼちゃをランタンにするために買いに来るのです。次々とかぼちゃたちはお客さんの家へ旅立っていって、夜がふけるころには、店の棚にたった一つだけ、かぼちゃが残りました。
いちばん大きなかぼちゃ
残ったのは、店でいちばん大きな、ごつごつしたかぼちゃでした。
「ぼくは、大きすぎるのかな。重すぎるのかな」
かぼちゃはしょんぼりしてつぶやきました。ほかのかぼちゃたちは、今ごろあたたかい部屋で顔を彫ってもらって、ろうそくをともしてもらっているのに。そのとき、店のドアがきい、と開いて、小さなおばけの子が立っていました。白いシーツをかぶっていて、つぶらな目だけがのぞいています。
おばけの子のお願い
「あの、かぼちゃさん。ぼくの家のランタンになってもらえませんか」
かぼちゃはびっくりして答えました。
「ぼくでいいの? 大きくて重くて、ごつごつしているのに」
おばけの子は首を横に振りました。
「ぼくの家はお屋敷なんです。小さなランタンじゃ、広い広間が暗くなっちゃう。大きなかぼちゃさんが必要なんです」
かぼちゃはぱっと顔を明るくして、ごつごつした背中が、少し誇らしくなりました。おばけの子は、かぼちゃをふわりと持ち上げました。おばけだから、重さはぜんぜん感じません。
「さあ、行きましょう。みんなが待っています」
お屋敷の夜
お屋敷の広間では、おばけたちが並んで待っていて、大きなかぼちゃが運びこまれると、わあっと歓声をあげました。おばけのおじいさんが、かぼちゃに顔を丁寧に彫っていきます。大きな目に大きな口、にっこり笑ったとびきりの顔です。ろうそくに火がともると、広間じゅうがあたたかなオレンジ色に染まりました。
かぼちゃは、うれしくて胸がいっぱいになりました。
「ぼく、大きくてよかった」
おばけの子がにっこり笑ってうなずきました。
「うん。きみは世界でいちばんりっぱなランタンだよ」
その晩、お屋敷の窓から、あたたかい光が町じゅうにこぼれていきました。かぼちゃ屋さんの売れ残りは、もうどこにもいませんでした。
おしまい
